●コモントップ10

1位 送還
圧倒的なテンポアドバンテージ。環境にはびこるオーライージウィンへの回答としても優秀。
と、褒めてはみたがマーフォークルーターを思い出して涙を流している人もいるだろう。
しかし「強い/弱い」という概念はあくまで相対的な価値観だ。カードの強さは相対化される相手によって変わってくるし、そして何より誰もが手持ちの武器で戦うしかないんだ。下を向くな。前を見ろ。

2位 リムソ
2マナのカードはそれだけで存在価値があるし、後半も活躍する2マナのカードともなればこの位置が低すぎるとは誰も言わないだろう。
アジサシが攻め専用な分こちらは守りのデッキで需要が高まるという点も見逃せない。

3位 巻物泥棒
こいつの強さについては折に触れて言及しているので今更言うことはあまり無い。
兎に角賛美しろ。頭を使うのが面倒な場合は適当なオーラをつけるのもいい。
賛美するのが重要だということは、逆に言うとこいつのアタックが通る見込みの無いデッキなら優先度は下がるということだ。そんなデッキでは9位タイまで優先度を落としていい。リミテッドな以上そんなことは稀なのだが。

4位 アジサシ
白は1マナ圏がなく2マナ圏が厚い。黒はその逆。つまり青黒のときは青白のとき以上に意識して取るようにしよう。

5位 3/3飛行俊足
こちらのカウンターや評決の構えに対して相手が待ちを決め込んだタイミングでキャストできるのは大きい。
コンバットでシャクろうとするのは諸刃の剣になりやすいので注意だ。

6位 2/2飛行
普通だね!すごく普通だね!ものすごく基本セットだね!

7位狩漁者
青の割りにたくましいサイズが特徴。賛美するとすごくパンプできるけどあんまりそんな機会は無い。赤黒緑の5マナ域にサイズで押されたときにブロッカーになるのは地味に偉い。

8位 2ドロー
これまた普通すぎるカードだが、いつもより若干アドバンテージが取り難い環境なので相対的にいい働きをする。
ターランドが取れたら無限回収したい。また、古術師の採用を検討されるときにも少し優先度を上げていい。

9位 商売の秘訣
カードの強さで言ったらもっと上にランクされてしかるべきだが、このランキングは強さのランキングでなく優先度のランキングだ。
青白黒はもとから飛んでいるし、さらに青黒の場合はもっといいオーラがあるので勝つときはこれだけで勝つカードな割りに優先度は高くない。
例外的に青緑の場合は5位タイまで優先度が上がるので注意。呪禁に貼ろう。
ゲームするのが面倒くさくなったら4ターン目に泥棒に貼ってみてもいい。

9位 古術師
ムラのあるカードなので評価が乱高下するが平均するとここら辺だろうか。
どんでん返しとの相性の良さは特筆すべきものがあるし、そこに送還が絡むとさらに酷いことになる。
爆発力がある分働きぶりにムラがあったりもするので、より効果的に運用するには単に回収したいスペルがあるというだけでなく、その中で能動的にキャストできるスペルがどれくらいあるかをケアするべきだ。古術師がいるから普段撃たないような対象に除去を打ってしまうなら手放しで二枚分の評価にはならないだろう。そういう意味でターランドの発動は最高だが、そんな意味がなくともターランドの発動は最高なので気にしなくていい。

9位 硬化
M12は遠くなりにけり。ルーター、クラゲの二台巨頭を失った青は、もうかつてのようにメインを張るような立ち居地にいない。今の青の大きなメリットは色拘束の強い相方とうまくやれる点にある。色自体の強さが上ならもう少し優先度が上がってもいい効果だが、現環境では9位に甘んぜざるをえないだろう。むしろデッキのバランスを整えるために0/4や5/5島渡りを優先させるタイミングの方が多いかもしれない。

●アンコモントップ5

1位 ターランドの発動
テンポとアドバンテージの塊であり、他のカードとの相乗効果が期待できる。単純なパワーカードである上に環境のカウンターがマナリークからリムソに変わったのでさらに磐石の強さだ。
赤緑を目指していて赤の出が悪かったらこいつから青緑に色を変えてもいいくらいに強い。
微妙なラインの比較としてはターランド本体とどちらを優先するかだが、個人的には高いレベルでムラのない強さを発揮する発動をおすすめする。特に白をやっていた場合は除去がエンチャントな関係上スペルの確保に若干手間取るので発動がいいだろう。

2位 極北のエイブン
言うまでもないが平地が7枚以上入る前提での順位だ。
まぁ、なんというか、単純に強い。以上。

3位 どんでん返し
思えばM12の青は強かった。
コンマジのぶっ壊れ性能は6マナにしてもあまりかわらないのでこの変更は賢明だと思う。
解呪系で対処できなかったり古術師で回収できる点はメリットだが、コンマジの暴力的な強さを思えばかなり善良なカードの部類だ。送還よりも優先していい

4位 0/2飛行防衛
硬い。ガチガチだ。これ一枚で完封できる相手も少なくない。マナ域次第では3位まで上方修正していい。

5位 睡眠
白や黒の賛美カラーと組む前提では昔ほどの強さは無い。
しかし青緑だと急に往年の輝きを取り戻すのでその点は意識していい。


●軽量除去(火葬、殺害)よりも優先されるレア

1位 ジェイス
相手のアタックを2回耐えろ。それだけでゲームに勝つ。

2位 ターランド
本領を発揮するのは青黒だが青赤のターランドもわりと悪くない。
ターランドをピックすると優秀なスペルを入れたいがために三色になることがあるが、序盤のもたつきを許容できる強さがこいつにはある。低速化の問題はカードパワーで対処できるし、デッキの回りが悪くなる問題も複数枚の2ドローの搭載にメリットがあるので多色化のリスクはある程度回避できる。


●PICK UP「送還は本当にそこまで強いのか」

どのカードから青に入るかという質問をよく受ける。
状況を初手に、レアリティをコモンに限定して話をすると、最も高い頻度でピックしてその後青を意識するカードは「平和な心」であり「1/1飛行賛美」だ。
青のコモンはデッキの主役にはなり得ない。しかし青はそれでいて環境にしっかりとその存在を示している。それはカード単体の強さではなく、青白と青黒の賛美で巻物泥棒をバックアップするアーキタイプの強力さがその所以である。45回の漠然としたカードの単体評価作業が、一連のデッキデザイニングに変わるとき、青いカードの評価はそれまでと全く違ったものになるだろう。

ではその上で、何故デッキの軸となるはずの巻物泥棒よりも送還を優先するのか?
まず環境最強である赤緑および赤黒に対する圧倒的なテンポアドバンテージが理由の一つだ。
点で攻める賛美戦略が面で攻める中量級ビートに対してスピードで一歩届かないということは環境分析の段で言及済みだが、その届かない一歩を縮めるのがこの1マナインスタントだ。自分のスピードを緩めず、相手の展開に急ブレーキをかけるのにこれ以上のカードはなかなかない。

標準的な青白と赤緑のマッチアップを想像して欲しい。こちらがアジサシ→巻物泥棒の回りを見せ、相手がフランキー→ケンタウルスの回りを見せたとして、こちらに送還があった場合と無かった場合の展開の差を考えてみよう。
仮にこちらが先手だった場合、まずアジサシの返しでフランキー。こちらがアジサシで殴って20-18で巻物泥棒でゴー。相手返しケンタウルスでゴー。返しにアジサシで殴って20-16。2/3飛行を出してゴー。返しに相手が2体の3/3で殴ってくる。あなたはこれをブロックできるだろうか?

もし、あなたがロトの血筋か何かを受け継いでいて、凡人の及びようも無い勇気やその他色々なものを体中の毛穴から溢れさせている場合はもちろんダブルブロックだ。1/3と2/3で3/3を討ち取る単純な1:1交換。後続が出ることを計算に入れても状況は先攻な分こちらがやや有利だろう。
ではあなたが平凡で善良な一カードゲームプレイヤーならどうか?実はこの場合もブロックだ。しかし泣きそうになりながらのブロックだ。何せ遅くまでぐるぐる回っていたあの+4/+4を撃たれるだけでこちらの場は酷いものになる。だからと言ってスルーもできない。持たれているカードは使わせるしかないからだ。そして多くの場合、相手は+4/+4なり火葬なりを撃って、運が悪ければさらに2マナの生物を場に追加するし、あなたがもう少し運が良かったとしても相手は+1/+0先制を打って3マナで生物を追加するだろう。

だからと言ってスルーした場合一気にライフは6点減って14-16。相手が4マナで生物を追加すればさらにクロック差は広がり、返しにアンタップした状態で除去やトリックを構えたとしてもここで失った不利を取り戻すのは容易ではない。この展開では往々にして巻物泥棒は一度も泥棒に成功しないまま最も効果的なチャンプブロックのタイミングを伺うことになる。マナエルフによる加速という最高の武器が無かったとしても後攻からこの展開に持っていけるのがこの環境の赤緑の強さだ。

だがしかし、たった1枚の送還さえあればこの状況は全く別物になる。
4ターン目にケンタウルスを戻すと2体いたはずのブロッカーは0に。返しのアタックも0点。巻物泥棒が1点余分にダメージを刻みながら新たなカードがあなたにもたらされる。ハンドの内容がいまいちで攻め切れる公算がたたないなら構えてもいいだろう。2/3飛行でなく狩漁者を出してダブルブロック、ジャイグロに合せてバウンスすればケンタウルスはそのターン出しなおせず、よって次のターンもアジサシによる一方的なビートを続行できる。
これこそがまさに「テンポアドバンテージ」である。初動2ターン目モグフランキーは赤の最高の武器であると同時にアキレス腱でもあるのだ。そしてそれに付け込むにうってつけのカードが、この1マナインスタントである。

単体で驚くべき柔軟性を発揮する送還と、賛美のバックアップあってこその巻物泥棒。まず確保しておきたいパーツはどちらか、おのずと決まってくると思う。


次回は黒

コメント

pkms
2012年8月29日16:13

今回のPICK UPも最高でした。

ドラフト40回くらい、シールド8回くらいやったところで、
コレクションで30枚以上持ってるカードを見てみました。

5位 30枚
ネズミ
コウモリ

4位 31枚
白の2/4バニラ
アンサモン

3位 35枚
アジサシ

2位 36枚
巻物泥棒
0/2賛美

1位 38枚
海蛇
付け火屋

ということで《海蛇》もちょっと褒めてあげてください。

耳
2012年8月29日17:57

青の下位は役割分担がはっきりしてて全部横並びですね。
0/4と海蛇は取り上げようとおもったんですけど疲れたんでサボってしまいました・・・

ウンパス
2012年8月29日19:09

リンクさせていただきます
リミテッドの考察は非常に勉強になりました!

耳
2012年8月30日0:32

ありがとうございます。
雑な分析ですがそう言って貰えると書く張り合いになります。
耳

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